AWS コスト最適化の判断基準(購入オプション・Savings Plans・Cost Explorer・インスタンス選定)

一言まとめ

Savings Plans は「使い放題」ではなく時間単位コミットの前払い。ベースラインだけコミットし、山は Spot とオンデマンドで吸収する。インスタンスは Graviton と最新世代、EBS は gp3。コスト配分タグは Billing で有効化しないと集計に出ず、過去には遡らない。

作成 · 更新 · #aws#cost#savings-plans#soa-c03
目次 8 sections
  1. 01 EC2 インスタンスの選定
  2. Dedicated Instance と Dedicated Host
  3. 02 購入オプション
  4. Savings Plans は「使い放題」ではない
  5. Spot の中断設計
  6. 03 Cost Explorer
  7. コスト配分タグ
  8. 04 ストレージとネットワークのコスト
  9. 05 監視系のコスト
  10. 06 ElastiCache のメモリ不足対策
  11. 07 関連
  12. 08 更新履歴

調査時点: 2026-07。料金・割引率・期間は当時の値。

Savings Plans は、1 時間あたりの利用額を 1 年または 3 年の契約期間中に支払うと約束する代わりに、対象の AWS 利用料金に割引を受ける料金プラン。

EC2 インスタンスの選定#

t2.micro は「ファミリー.世代.サイズ」。サイズが 1 段上がると vCPU / メモリは通常 2 倍。

カテゴリファミリー覚え方用途
汎用T、M、A、MacTurbo(バースト)、Middle(基準)T は CPU クレジットで必要時だけバースト。M はバランス型
計算最適化CComputeバッチ、高負荷 Web、安定した計算
メモリ最適化R、X、zRAMインメモリ DB、ビッグデータ
ストレージ最適化I、D、HI/O高ランダム I/O(I)、大容量 HDD スループット(D / H)
高速コンピューティングP、G、F、InfGraphic / InferenceGPU / FPGA、機械学習、推論

コストで最終判断するときの優先順位: Arm(Graviton、A ファミリーや M6g など。当時最大 45% 削減)、定常負荷がなければ T、常に最新世代。

Dedicated Instance と Dedicated Host#

比較ハードウェア専有インスタンス専有ホスト
分離他社アカウントとは物理ホストを共有しない。同一アカウント内の共有は可物理サーバー 1 台を丸ごと専有
費用安い高い
用途他社との物理分離が要件ソケット / コア単位のライセンス(BYOL)

購入オプション#

オプション割引縛り中断リスク用途
オンデマンド0%(基準)なし(秒課金)なし短期、テスト、予測不能な負荷
Savings Plans最大 72%1 年 / 3 年(金額の枠)なし24 時間 365 日のベースライン
リザーブドインスタンス最大 72%1 年 / 3 年(台数の枠)なし同上(柔軟な Savings Plans が主流)
Spot最大 90%なしあり(空き容量次第)耐障害性のあるバッチ、分散処理、コンテナ

Savings Plans は「使い放題」ではない#

全払い(All Upfront)でも、買ったのは「1 時間あたり $X 分」の時間単位コミットの前払い。回数券のまとめ買いであって、乗り放題ではない。

  • コミット $1.00/時で $0.50 しか使わなかった時間 → 差額 $0.50 は消える(繰り越し・返金なし)
  • $3.00 使った時間 → $1.00 分は割引適用、残り $2.00 はオンデマンド料金で秒課金

したがって Cost Explorer の推奨を見て「絶対に止めないベースライン(床)」の金額だけコミットし、スパイク(山)はオンデマンドや Spot でいなす。

プラン範囲柔軟性割引(当時)
Compute SPEC2、Fargate、Lambda最高。OS・ファミリー・リージョン変更に追従最大 66%
EC2 Instance SPEC2 のみリージョンとファミリーを固定。サイズ・OS は自由最大 72%
SageMaker SPSageMaker中最大 64%
Database SPRDS、Aurora、OpenSearch など中最大 35%

期間は 3 年が最安だが解約不可。支払いは全払い(最高割引)、半払い、なし(最低割引)。

Spot の中断設計#

回収の 2 分前に警告が出る。この 2 分で退避する。

中断動作挙動
terminate(デフォルト)削除。ステートレス処理向け
stop停止。EBS は保持され、空きが戻れば再開
hibernateメモリを EBS ルートに書き出して一時停止。処理途中から復帰できる。ルート EBS の暗号化と対応 OS / インスタンスタイプが条件

検知は 2 通り。EventBridge で EC2 Spot Instance Interruption Warning を受けて Lambda で ALB から登録解除し代替を起動する(推奨)か、インスタンス内から IMDSv2 の /latest/meta-data/spot/instance-action をポーリングする。

Cost Explorer#

  • 標準で当月を含む過去 13 か月を分析でき、予測は将来 12 か月(履歴 + 予測で最大 25 か月)
  • 複数年データ機能(無料でオプトイン)で月単位の履歴を最大 38 か月に延長
  • 2025 年 11 月の更新で予測が最大 18 か月先に拡張され、履歴 38 + 予測 18 = 56 か月を一元分析できるようになったと記録(時系列は要確認)
  • 有効化直後は当月データの表示に最大 24 時間、それ以外の履歴全体のインデックスに数日かかる
  • 時間単位の分析や API クエリは有料

コスト配分タグ#

普通のタグと文字列は同じで、Billing コンソールで「有効化(アクティベート)」したかどうかだけが違う。

  • 有効化前の過去データには遡らない。タグでコストを見たいと分かった時点で先に有効化する
  • CloudFormation の Tags プロパティで付与はできるが、「コスト配分タグとして有効化」は標準リソースでは自動化できない(カスタムリソースで UpdateCostAllocationTagsStatus を呼ぶか、デプロイ後に手動)
  • CloudFormation が自動付与する aws:cloudformation:stack-name を有効化するだけで、スタックごとの合計コストが見える

予算超過はAWS Budgets、異常な増加はコスト異常検出で、いずれも SNS 経由で通知する。

ストレージとネットワークのコスト#

対象手段
EBSgp2 → gp3(ベースライン性能とコストの両方で有利)
S3ライフサイクルで安価なストレージクラスへ自動移行。大規模復元は Glacier の Bulk 取り出し
EFSIA へのライフサイクル
アウトバウンド(IPv6)Egress-Only IGW は無料。NAT Gateway は時間 + 処理量課金
AWS サービスへの通信プライベートサブネットからは VPC エンドポイントで NAT の処理料金を回避
VPC 間接続10 VPC 未満ならピアリング(無料)。TGW はアタッチメント固定費 + 処理量
DNSRoute 53 エイリアスへのクエリは無料
データ転送インターネットへの転送は当時月 100GB まで無料枠

監視系のコスト#

  • Managed Grafana は「1 ワークスペース × 1 アクティブユーザー」ごとの月額。ワークスペースを統合し、閲覧者は Viewer にする
  • Metrics Insights はコンソール実行が無料、API 経由が従量、アラーム組み込みが固定。自動更新ダッシュボードは全メトリクスをスキャンし続ける。CloudWatch の監視設計
  • CloudTrail のデータイベントは高度なイベントセレクターで対象を絞る。アクセス制御と監査
  • Amazon Q Developer は無料枠と Pro(当時 19 USD/ユーザー/月。学習不使用の保証と Identity Center 連携)の 2 プラン

ElastiCache のメモリ不足対策#

エビクション(追い出し)が急増し、ホットデータを保持したいとき。

  • コストをかけない: パラメータグループでエビクションポリシーを allkeys-lru にし、アクセスのない古いデータから捨てる
  • 容量の根本解決: ノードタイプをスケールアップ。クラスターモード有効ならシャード追加でスケールアウト
  • 選ばない: noeviction(メモリ不足で OOM エラーになる)、TTL の一律変更(ホットデータも消える、または古いデータが残る)、定期的な FLUSHALL(DB にアクセスが集中する)

Serverless と Redis 互換の Valkey が運用負荷の少ない選択肢になっている。

関連#

更新履歴#

  • 2026-07-18: 初版(ローカル調査ノート)
  • 2026-10-17: Wiki へ移植、概念ページとして再構成。冒頭に定義を追加

出典

  1. https://docs.aws.amazon.com/cost-management/latest/userguide/ce-enable.html

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