スクラムガイド 2020(ライセンス・構造・2017 からの変更点)
The 2020 Scrum Guide(Schwaber / Sutherland)は CC BY-SA 4.0 で、帰属表示と変更明示を守れば全文転載・再構成・注釈付けができる。日本語公式訳も同ライセンス。2017 → 2020 で「開発チーム」廃止、「役割」→「責任」、プロダクトゴール導入、3 作成物への確約、自己組織化 → 自己管理などが変わった。
目次 8 sections
調査時点: 2026-10。この時点で 2020 年 11 月版が最新で変更なし。
スクラムガイドは、複雑な問題にチームで取り組む枠組み「スクラム」の責任・イベント・作成物と基本ルールを定義した公式文書。Ken Schwaber と Jeff Sutherland が書き、無償で公開されている。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | The 2020 Scrum Guide™(2020 年 11 月版) |
| 著者 | Ken Schwaber、Jeff Sutherland |
| ライセンス | CC BY-SA 4.0(PDF 末尾に明記。「利用した時点で同意したものとみなす」文言あり) |
| 英語版 | HTML と PDF。約 3,900 語、13 ページ |
| 日本語版 | PDF 18 ページ(表紙・謝辞・用語集含む)、本文約 2 万字。翻訳: 角征典、荒本実、和田圭介 |
| 補助文書 | Scrum Guide Expansion Pack(2025 年 6 月、Sutherland ら)。公式の「補足」で置き換えではなく、認定試験の範囲外。日本語版あり |
日本語 PDF の落とし穴
「⽇」「⽉」などの CJK 互換漢字が使われており、コピペ・検索・全文検索で「日」「月」と一致しない。テキストを取り込むときは NFKC 正規化が必須。
構造
- スクラムガイドの目的
- スクラムの定義
- スクラムの理論: 経験主義とリーン思考、3 本柱(透明性・検査・適応)
- スクラムの価値基準: 確約・集中・公開・尊敬・勇気
- スクラムチーム: 10 人以下、3 つの責任(開発者・プロダクトオーナー・スクラムマスター)
- スクラムイベント: スプリント(1 か月以内)、スプリントプランニング(8 時間以内、Why / What / How)、デイリースクラム(15 分)、スプリントレビュー(4 時間以内)、スプリントレトロスペクティブ(3 時間以内)
- スクラムの作成物と確約: プロダクトバックログ → プロダクトゴール、スプリントバックログ → スプリントゴール、インクリメント → 完成の定義
- 最後に(不変性)、謝辞、歴史、翻訳について、用語集(英日対訳)
2017 → 2020 の変更点
2017 年版で学んだ人が「古い知識」を持ち込みやすい箇所。
- デイリースクラムの「3 つの質問」を削除。「レトロスペクティブの改善項目を 1 つ以上スプリントバックログに入れる」を削除
- 「開発チーム」を廃止して「開発者」に。「役割(roles)」を「責任(accountabilities)」に
- プロダクトゴールを導入。3 つの作成物それぞれに「確約(コミットメント)」を対応付け
- 自己組織化 → 自己管理(誰が・どのように・何を、まで決める)
- スプリントプランニングに「Why」のトピックを追加
- サーバントリーダー → 「真のリーダー」。チーム規模は「開発チーム 3〜9 人」から「チーム全体で 10 人以下」に
- テスト・設計・要求などの IT 用語を排除し、業界非依存の文章に
用語のねじれ
学習時につまずきやすい点。
- 「確約」が価値基準(Commitment)と作成物に付く確約(commitment)で同じ語
- 「責任」は「役割」ではない
- プロダクトゴール / スプリントゴール / 完成の定義と、3 つの作成物の対応
- 日本語訳固有の語感(「委員会」「作成物」「真のリーダー」)。英語原文と並べて読みたい人が一定数いる
- Scrum.org 自身が「self-managing が最も誤解される語」と書いている
ライセンスと商標の線引き
できること: 本文の全文掲載、段落ごとの分割、注釈・設問の付加、日本語訳の利用。条件は著者クレジット、ライセンスへのリンク、変更を加えた旨の表示。派生テキストも BY-SA を維持する。
避けること: 「Professional Scrum」「PSM」「PSPO」など Scrum.org の商標をプロダクト名や宣伝に使うこと、Scrum.org のロゴの使用。「Scrum Guide ○○」というプロダクト名も公式と誤認されうる。「Scrum」という単語自体は商標主張されていない。
先行事例として、Stefan Wolpers の Scrum Guide Reordered と吉羽龍太郎氏による日本語版は、どちらも BY-SA でガイド本文をトピック別に再構成して公開している。
関連
更新履歴
- 2026-10-07: 初版(ローカル調査ノート)
- 2026-10-17: Wiki へ移植、概念ページとして再構成。冒頭に定義を追加