ミラン 25/26 の崩壊と 2026 年 5 月の刷新
一言まとめ
25/26 はセリエ A 5 位・勝点 70、最終節の逆転負けで CL 圏を 1 点差で逃した。翌日 2026-05-25 に監督アッレグリとフロント中枢 3 人を解任し、20 日間の迷走の末 06-16 にアモリムが就任した。
目次 5 sections
事実は 2026-06-15〜16 時点の一次ソース(クラブ公式・Wikipedia・主要メディア)に基づく。報道ベースの経緯と筆者の解釈は本文中でその旨を示す。戦術と戦力の話は アモリムの 3-4-2-1 とミランの適合、監督候補と SD 人事の詳細は ミラン 2026 年夏の監督・SD 選定、移籍動向は ミラン 2026 年夏の移籍市場 にまとめた。
25/26 の決算
| 項目 | 値 |
|---|---|
| セリエ A 最終順位 | 5 位 |
| 勝ち点(38 試合) | 70 |
| 勝・分・敗 | 20-10-8 |
| 得点 / 失点 / 得失点差 | 53 / 35 / +18 |
chart: YAML を読めません (Nested mappings are not allowed in compact mappings at line 10, column 10:
caption: CL 圏(4 位以内)との差は 1 点。5〜6 位の 3 クラブが勝ち点 70 前後にひしめいた。出典: Wikipedia「2025–26…
^
)
- 前半戦は上位戦線に踏みとどまり、一時は 24 試合無敗とも報じられた(起点は確認できないため事実としては扱わない)。流れが変わったのは 2026-02-22 のパルマ戦、ホームでの 0-1 敗戦。最後の 8 試合で 2 勝にとどまって 5 位まで後退した。
- 最終節 2026-05-24、サン・シーロでのカリアリ戦。先制後に逆転を許して 1-2 で敗れ、勝てば届く可能性のあった CL 圏を手放した。コモ 71 点・ミラン 70 点。
- 前季 24/25 の 8 位からは順位を上げた。欧州大会は前季 8 位で出場権がなく、リーグ戦に集中できた 1 年でこの結果だった。
- 得点力が宿題。総得点 53、リーグ最多得点者はレオン(セリエ A 9 得点 3 アシスト、29 試合)、次いでプリシッチ(8 得点 4 アシスト、30 試合)。全公式戦の二桁得点はこの 2 人だけ。この季の得点王はインテルのラウタロ・マルティネス 17 得点。
- 総得点 53 はリーグ 20 クラブの中位より上(最少はヴェローナ 25、ピサ 26、パルマ 28)だが、CL 圏の 4 クラブ(インテル 89、コモ 65、ローマ 59、ナポリ 58)には届かない。
- 試合の記録: 最大勝利は 3-0 が 4 試合(ウディネーゼ A、ヴェローナ H、ボローニャ A 2026-02-03、コッパのレッチェ H)。最大敗戦はホームのウディネーゼ戦 0-3(2026-04-11)。最多入場者は 2026-04-26 のユヴェントス戦(0-0)の 75,681 人。
- カップ戦も早期敗退。コッパ・イタリアはラウンド 16(2025-12-04 ラツィオ戦 0-1)、スーペルコッパは準決勝(2025-12-18 ナポリ戦 0-2)。
- 体制: 監督アッレグリ(2025-05-30 就任、コンセイソン解任後で 2 度目)、会長スカローニ、オーナー RedBird Capital Partners(99.93%)。主将はメニャン(2025-07-24 就任、2026-01-31 に 2031 年まで延長)。
- 26/27 ホームキット(プーマ)は 2026-05-22 に発表され、最終節カリアリ戦でピッチデビューした。1998-99 のキットを模した幅広の赤黒ストライプ。
5 月の一斉解任
最終節の翌日 2026-05-25、クラブは監督とフロント中枢を一度に解任した。声明は “unequivocal failure”(疑いようのない失敗)。
| 人物 | 役職 |
|---|---|
| マッシミリアーノ・アッレグリ | 監督 |
| ジェルリー・フルラーニ | CEO |
| イグリ・タレ | スポーティングディレクター(SD) |
| フレデリック・モンカダ | テクニカルディレクター(TD) |
4 人の解任コストは 2,000 万ユーロ超と報じられた。実務の責任者をまとめて切る一方、資本とクラブの顔の側はそのまま残した。アッレグリはコンテの後任としてナポリへ(2 年契約で合意と報道)。
残った意思決定者
- ジェリー・カルディナーレ: RedBird 創業者で最終意思決定者(米国在住)。
- パオロ・スカローニ: 会長。
- ズラタン・イブラヒモビッチ: 特別顧問。サッカー面で実質的な発言権。
- マッシモ・カルベッリ: RedBird の CEO International。2025 年 7 月に RedBird Development Group の CEO International、同 11 月にミラン取締役に就任。フルラーニ解任後は暫定的に CEO 機能を担うとされる。
決定者が複数並立し意見が割れやすい構造で、6 月にはイブラヒモビッチとカルベッリの路線対立が報じられ、ウルトラスはイブラヒモビッチの続投に反発した(報道)。CEO・SD・TD が同時に空席となり、新監督の選定を資本側と顔役の少人数で進める形になったことが、後の迷走の背景になる(解釈)。
刷新を支えた財務
- RedBird は 2022 年にクラブ評価額 €1.2B でエリオットから取得。現金 €650m + エリオットからのベンダーローン €550m(利率約 7%)。
- 買収前は 17 年間赤字だったが 2022/23 以降は黒字を継続。2024/25 は収益 €494.5M(前年比 +10%)、純利益 €3M で近代初の 3 年連続黒字。インテル(€567M・純利 €35.4M)にはなお見劣りする。
- 2026-01-30、Comvest Credit Partners と Manulife Investment Management からの新資金でベンダーローンを完済し、エリオットの財務的関与を解消。エリオットの Gordon Singer と Dominic Mitchell が取締役を退任し、RedBird が単独支配のオーナーに。
RedBird が引き継いだのは、エリオット(2018〜2022 年保有)が構造改革を済ませたクラブだった。
| 指標 | エリオット体制での変化 |
|---|---|
| 賃金 / 収益比率 | 108%(2019/20)→ 64%(2021/22) |
| 純負債 | €101M → 約 €28M(2022 年売却時) |
| UEFA FFP 制裁 | 2022 年に完全解消 |
| 年度 | 純利益 |
|---|---|
| 2022/23 | €6M |
| 2023/24 | €4M |
| 2024/25 | €3M(収益 €494.5M、2025-11-05 発表) |
純利益は 3 期とも一桁 €M で、年俸・移籍金の枠は財政に律速される。2026 年 5 月のレヴァンドフスキ交渉が年俸要求で止まった例がある(移籍市場)。
- 3 年連続黒字で債務も外した足場が一斉解任を可能にした(解釈)。一方で RedBird は大型投資に慎重とされ、監督交渉や補強の制約に直結する。
監督交渉の 20 日間
| 時期 | できごと | 確度 |
|---|---|---|
| 2026-05-25 | アッレグリ解任。監督と実務トップが同時に空席 | 確定 |
| 5 月末 | アンドニ・イラオラに接触するも断られる。EL 出場のミランより予算規模の大きいクラブを選好したとの見方 | 報道 |
| 6 月上旬 | オリバー・グラスナーが本命に。2 年契約・年俸 €4〜5M で合意に近いと報道 | 報道 |
| 6 月中旬 | ラルフ・ラングニック招へいを模索するも破談。全権要求と内部の反対、回答の遅れが理由とされ、本人は “no clarity” と評した | 報道 |
| 6 月中旬 | アモリムとの直接交渉が伝えられ、本命がアモリムへ | 報道 |
| 2026-06-16 | アモリムを「Head Coach of the men’s First Team」として就任を公式発表 | 確定 |
- 契約年数は公式非開示。英メディアは 3 年、伊報道は 2 年 + オプション 1 年。
- カルディナーレは就任発表で「我々は何年も彼を追ってきた。ボール保持で試合を支配し、現代的なプレッシングと明確な戦術的アプローチを持つ」(要約)と述べた。
- アモリムは 1985 年 1 月生まれの 41 歳。スポルティングで約 4 年 8 か月の長期政権を築いた一方、マンチェスター・ユナイテッドは 2026 年 1 月にわずか 14 か月で解任されたばかり。
- 同時期の監督市場: グアルディオラがシティ退任、シャビ・アロンソがチェルシー、イラオラがリバプールへ(報道)。EL 出場のミランは資金力で上位クラブと競合する立場だった。
- 各候補が流れた理由(イラオラの予算差、ラングニックの全権要求、グラスナーの発表延期)と、ラングニック破談後の SD 候補(クロッシェ・オゼク・ハルドゥング)は ミラン 2026 年夏の監督・SD 選定 にある。
関連
更新履歴
- 2026-10-08: Labs の調査資料(2026-06-15 調査)の第 1〜3 部から Wiki に移行。
- 2026-10-17: ローカル調査ノート(2026-06-15)から試合記録・得点内訳・26/27 キット・エリオット体制の財務指標・年度別純利益・借り換えの貸し手を追加。監督候補と移籍の詳細は別ページへ分離。
出典
- https://en.wikipedia.org/wiki/2025%E2%80%9326_AC_Milan_season
- https://en.wikipedia.org/wiki/2025%E2%80%9326_Serie_A
- https://www.acmilan.com/
- https://www.acmilan.com/en/news/articles/serie-a/2026-05-24/ac-milan-beaten-at-san-siro
- https://www.acmilan.com/en/news/articles/media/2025-05-30/official-statement-massimiliano-allegri-appointed-as-ac-milan-head-coach
- https://www.acmilan.com/en/news/articles/club/2025-11-05/historic-third-consecutive-year-of-profit-and-new-record-revenue-the-club-s-growth-fuels-the-sporting-project
- https://www.acmilan.com/en/news/articles/club/2026-01-30/redbird-capital-partners-completes-refinancing-of-ac-milan
- https://www.acmilan.com/en/news/articles/media/2026-05-22/ac-milan-and-puma-unveil-the-2026-27-home-kit
- https://football-italia.net/official-milan-fire-allegri-tare-furlani-monca/amp/
- https://milanreports.com/2026/06/01/divisions-milan-ibrahimovic-calvelli/
- https://navnoorbawa.substack.com/p/elliott-managements-ac-milan-investment